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2019.07.09 相対音感のための階名唱:例題

では、例題として下記の問題に取り組んでみましょう。

■例題1

わずか2音で構成された問題ですが、音程の基本はここからです。
さて、楽器を使わずに「ド」の高さを決めましょう。ここでいう「ド」は固定の「ド」ではなく、階名としての「ド」ですから自由な高さで構いません。音楽経験があり、固定ドに馴染んでいる方であれば、むしろ固定の「ド」でないことを意識し、音名の「ド」とは異なる音を設定した方が意図した練習になります。
そして、歌う際にもうひとつ気にかけてほしいことは、「ド」から動き始めた音が「レ」に展開して、再び「ド」に戻ってくる感覚を意識することです。「ド」に戻ったときに安定感を感じられること、これが『調性感』の第一歩と言えます。


上の3つの音源はそれぞれ上から「ハ」「ニ」「ホ」音です。
このそれぞれを「ド」として、例題1を歌うと以下のような音程になります。


音程を取ることに慣れていない場合は、まず上の音源を参考に使用してください。
上の3つの音以外にも、慣れてきたら様々に「ド」の高さを変えましょう。
どの高さにおいても「ド」に安定感を感じ、自身を持って音程が取れるようになったら次の練習に移ります。

■例題2

十二平均律に則って、ここでは「ド」と「レ」の音の幅と「レ」と「ミ」の音の幅は同じと考えることにします。ですので「ドレド」と「レミレ」は全く同じ音程を違う音高で繰り返していることになりますが、実際に歌ってみると、「レミレ」と「ドレド」の感覚は大分異なります。具体的には「レミレ」は「そこでは終われない・次に進みたい感」があり、最後の「ドレド」で安定して終わりを迎えます。これも「調性感」があるからこそ感じられるものです。
音と音の幅を感じて、なおかつ「ド」に戻ってきたときに安定した感覚が持てるように、繰り返し歌ってみましょう。