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2022.09.21

伝わる・揺さぶる!文章を書く

タイトルからしてもちろん「文章の書き方」に関する本ですが、文章を書くとはすなわち言葉を紡ぐことであり、それは人と言葉を交わすコミュニケーションにおいても重要なスキルであると考えます。
自分が書いているこの文章は、読む人にどのような考えをもたらすことが出来ればその機能を果たしていると言えるのか。私が書いているこの文章は、この本に興味を持ってもらうことがゴールでしょうか。
本は5章で構成されています。
第1章では「機能する文章を目指す」ためにはどのような要件を抑えれば良いのか、第2章ではそれらの要件についてどのように考えれば良いのか、第3章では実践編として日常生活のさまざまな場面で表れる文章を、第4章ではより高度なテクニックを、そして最後の第5章ではコミュニケーションについて書かれています。
何か文章を書くときに、道筋に迷ってしまう人。どう文章を広げていけば良いのか困ってしまう人にオススメ出来る本だと思います。

文章を書くのは自分の内面と向き合うようで、私はとても好きです。が、昔の方が勢いよく色々書けたな、とも感じます。
文章を書くことについて、また改めて考えてみたくなりました。…
2021.01.18

野口体操入門 からだからのメッセージ

故・野口三千三氏(1914-1998)の身体哲学が元になって生み出された野口体操。別名・こんにゃく体操。東京藝術大学で長年教鞭を取っていた野口先生にこの体操を学んだ著名な音楽家は数知れず、現・東京藝術大学学長の澤和樹先生(ヴァイオリニスト)も、広報誌の中で「この授業がもっとも思い出深い授業だ」と述べています。残念ながら私が在学していた時には既にこの体操の授業はなく、実際に受けたことがある先生方から話を伺うたびに羨ましいと思うばかりでした。
 著者である羽鳥操氏はその直弟子。この本ではどのようにして野口体操が生まれるに至ったのか、野口体操の考え方、具体的な動き方が書かれています。
 野口体操の考え方は、「力を抜けば抜くほど力が出る。なぜなら筋肉は休んでいる時にしか新しく働き始めることは出来ないから」というものです。体操を通じて「重さ」と「はずみ」と「筋力」の関係性を感じられるようにすることで、よりパフォーマンスが向上すると考えられます。
 こうした実技系の本は、本だけではどうしてもわからない部分が多くありますが、2020年になり、YouTubeに「野口体操ch」というチャンネルが作られました。著者の羽鳥先生が実際に説明しながら体操を実演してくださるので、本と合わせて参照すれば、脱力についてかなりの学びが得られます。

野口体操入門

野口体操ch 第1回配信「野口体操を紹介します!』…

essay


2022.10.06

オンラインレッスンはじめます

このessayのページでしばらく更新していましたが、
私は音名と階名を切り分けて、相対音感に注視するソルフェージュレッスンを行っています。

なぜ絶対音感ではなく、相対音感なのか。
それは、音楽が「音と音が相対的に結びついて人間の感覚に働きかけるもの」であり、絶対的な音の高さよりも、相対的な音の関係性の方がより重要視されるべきだからです。

例えばカラオケでキーを変えたとしましょう。
確かに雰囲気は変わりますが、キー変更によってその曲がその曲でなくなってしまうことはありません。
それは、音と音の関係性が保たれているからです。

音同士の関係性が保たれている限り、その音楽は本質を失いません。
そして、相対音感を訓練するソルフェージュとは、その本質を捉え、操れるようになるためのものだと考えています。

訓練のツールとして、「階名」を用います。
階名とは、音階につけられた名前を指します。言葉としては誰もが馴染みのあるであろう「ドレミ」を使用します。
ただし、ここでいう「ドレミ」は、特定の高さの音を指しません。

どのような高さの音でも「ド」と定義します。そしてそこから、音を連ねていく訓練をします。
巷では「移動ド」と呼ばれることが多い手法です。

レベルは受講生に合わせて対応します。
こういった練習が全く初めての人は、まずは歌い真似から始めて、次第に頭の中に「音階」を構築出来るように訓練していきます。
同時に、さまざまな楽譜を用いて「移動ドで音楽を読み取る方法」を学んでいきます。
合わせてリズムの読み取りも訓練します。

レッスンの第一目標は、
・自分で楽譜を読んで音を取ることが出来るようになることです。
これが出来るようになれば、自分のペースで新しい曲を好きなように勉強することが出来ます。

音大受験準備等は現時点ではオンラインではお引き受けしない予定です。
受験生であったとしても、それとは別にレッスンを受けたい、という場合はもちろんOKです。

企画自体立ち上げたばかりなので、とりあえずにはなりますが、
レベル関係なく、料金は一律、30分1,500円、支払い方法はPayPayを使用する予定です。
基本的には一回ずつのお約束ということで、1回だけやってみたいも全然OKですし、やってみてから続けるか決めるもOKです。
おそらく私の都合で、毎週特定の時間にお約束することは難しいような気がします。

レッスンにはZoomを使用します。
画面に資料を写して使用することもありますので、スマートフォンよりもタブレット端末やPCから接続できた方が便利ではあるかと思います。

課題はまずは私が作成したものを使用しますので、準備いただくものはありません。
プリントアウト出来るようでしたら資料をお送りしますので、手元に印刷していただけると便利かと思います。
定期的にある程度の期間レッスンを希望される場合は課題集を購入していただいた方がメリットが大きいので、その際にご案内します。

レッスンの希望、質問などあればホームページの上にあるmessageからご連絡ください。
質問いただいたものやレッスンの様子など、追記できるものがあればまたここに追記していきます。…
2020.05.09

相対音感のための階名唱:跳躍を含むオクターブの練習

次は3度で跳躍してみましょう。
3度というのは、「ド→ミ」や「レ→ファ」のように、間をひとつ飛ばした音程のことを指します。
こちらも譜例はハ長調のものですが、音源はそれ以外の調性でも演奏されています。 跳躍音程が難しくて取れないと思ったら、間の省いている音を入れてみましょう。 下降音形でも練習してみましょう。 これも難しければ、間に補助的に音を入れましょう。 このように、跳躍する音程も間に音を入れながら取れるように練習していきます。…

murmur


2022.08.20

筆不精

すっかりな筆不精です。
演奏会のお知らせをしたきり、すっかりそのままだったのでちょっと振り返り。

・Spring Concert

赤いピアノが印象的な、東久留米市役所。 おそらく人前で歌うようになったのは小学4年生か5年生くらいからだったと思いますが、そこから考えてもこんなに舞台に立たない期間が長いのは初めて。
職業演奏家ではありませんが、「歌う」という行為は私にとって切り離せないものだな、と思い至る舞台でした。
日本歌曲とフランス歌曲、そしてオペラということで、私にとっても美味しいとこどりでした。

私は日本人ですし、やはり日本語という言語はとても美しい言語だと感じます。
機微が豊かで、母音がきちんと存在感を放つ言語。それでいて子音にも細やかなニュアンスを含ませられます。
いろいろな言語を学ぶ、その全てが日本語で歌うことに返ってくるような印象があるのは、すごく面白いです。
単に私が日本人だからというだけかもしれませんが。笑

そしてフランスの作品、今回はフォーレの歌曲でしたが、これもお気に入りです。
日本人、フランス音楽好きだと思うんですよね。ピアノ学習者にもドビュッシーとかラヴェルとか人気があると思いますし。
和声が醸し出すなんとも言えぬ香りともいいましょうか、同じロマン派と括ってもやはりドイツやイタリアの音楽とは異なる色合いがありますね。

共演した皆様も、本当に素晴らしい演奏でしたので、お客さまにもきっとお楽しみいただけたことと思います。


・MUSICAとりっぷる 〜イタリア編〜
こちらは同期と一緒に企画した演奏会。
この歳になっても一緒に何かが出来る、というのはありがたいこと。
そして、みんな本当に素晴らしい音楽家。一緒に音楽を奏でられることを幸せに思います。 私は前半にレスピーギ作曲の『森の神々』という歌曲集から抜粋して3曲を演奏しました。
声楽の勉強を始めると最初に手にするイタリア歌曲集をはじめとした古典〜ロマン派あたりの作品群は、
手を替え品を替え、よくもまあこれだけ恋愛ばっかり歌うな、と思う人は多いかと思いますが、笑
この『森の神々』という作品は少し毛色が違い、宗教的・哲学的内容を多分に含んでいます。安直に、『難解』と言える作品かもしれません。

古い価値観が新しい価値観によって覆い尽くされること。
これはいつの時代も、どんな分野においても起こりうることです。

キリスト教圏に住んでいるわけでもなければ西洋人でもない私にとっては、この作品をきちんと理解した!と言える日は来ないかもしれませんが、私なりに考えることの多い作品でした。
いずれ抜粋せずに全曲演奏出来れば良いな、と思い、その日まで温めておこうと思います。

後半の最初には歌劇『愛の妙薬』から、「人知れぬ涙」を。
テノールなら誰もが通り、そして誰もが挫折する曲です!と紹介させてもらいましたが、笑
今回演奏するにあたり、「ネモリーノというキャラクターは一体どこまでデフォルメされうるのだろうか、、」なんてことを考えていました。

現実に考えたら、よく言えば純真悪く言えばバカなんですよねネモリーノ。
物の価値もよくわかっておらず、ただのワインを惚れ薬だと信じて、凄まじい高値で2回も買い、それで「彼女が自分に恋をしているんだ!もう死んでもいい!」と盛り上がってしまうわけです。
このシーンが真面目であればあるほど、これまでとのギャップが面白い人物像になるわけで。そしてだからこそのオペラブッファ。
ただそれをアリア1曲演奏するだけでどう捉えれば良いのだろうか。おお、アリア1曲歌うってキャラクター作るのすごい難しいじゃん…。
という感じで、もやもやといろいろ考えていました。

この曲自体久々に歌いましたが、新しい気づきというか、気回しをたくさんする機会となりました。
同じ歌を歌っても、歌うたびに新しい学びがありますね。面白いです。

アンコールには「黒猫のタンゴ」を。…
2022.04.18

演奏会のお知らせ

もう4月。本当に時間が経つのが早いです。
コロナ禍で演奏活動を自粛しておりましたが、このままだと本当に歌う機会がなくなってしまいそうなので、ちょっと踏ん張ることに決めました。
より感染予防を心がける毎日です。。


・Spring Concert

2022年4月24日(日)
17時開演
東久留米市役所1階 市民プラザ 屋内ひろば
(画像を押すと拡大します)

恩師、穂積磨矢子先生にお声がけいただきました。
元々1時間くらいのプログラムで、ということでお話をいただいた気がしたのですが、結局1時間どころじゃ済まなそうなボリュームです。
私は山田耕筰の「鐘が鳴ります」と、別宮貞雄の「さくら横ちょう」、それから、G.フォーレの「夢のあとに」と「ゆりかご」を歌います。
あと、プッチーニの歌劇『ラ・ボエーム』から第一幕のアリアと重唱を、ソプラノの太田絢子さんと演奏いたします。

先日5年ぶりに(!)お会いして、合わせをしました。
最後に会った時はまだ太田さんは受験生だったのですが、今や立派な大学院生ということで、月日の経つのはまっこと恐ろしいものであります。

コロナ禍ということもあり、ソロが中心の演奏会です。
入場無料で、お申し込みの必要もありません。
途中での入退場も可能な広場での演奏となります。
どうぞお気軽に足をお運びください。

・MUSICAとりっぷる 〜イタリア編〜

2022年7月10日(日)
加賀町ホール
(大江戸線牛込柳町駅より徒歩5分)
全席自由3,000円
(最大80席予定。感染状況により減席の可能性あり)

(画像を押すと拡大します)

ひょんなことから大学の同期で演奏会をすることにしました。
今回一緒に舞台に立つテノールの紀野とは仕事やら研究テーマやら共通するものが多く、ちょくちょく連絡をとっているのですが、随分と前のコロナが下火だった時期に食事に行き、「演奏しようぜ!」ということで企画を決め、その場にいた小林くんを巻き込み立ち上げました。その時は「さすがにもう来年の夏ならコロナも大丈夫でしょ」みたいな話だった気がしますが…。もう全く予想がつきません。

Trip(旅行)する様に、世界中のいろいろな音楽を演奏したいね、ということでMUSICAとりっぷる。
そして、せっかくならそれぞれの国ごとにプロフェッショナルを招こうじゃないか、ということで、イタリアで修行を積んだメゾソプラノの藤田さんにも出演を打診した結果、このような布陣と相成り、〜イタリア編〜とサブタイトルがついたのであります。
予定なら1年に1回、ドイツ編やらフランス編やら、向こう6年くらい継続する予定です。本当に出来るかな。笑

同期だから、という贔屓目をおいても、皆本当に素晴らしい演奏家です。
ぜひ足をお運びください。 お申し込みはこちらから。…

profile


木川翔(Sho Kikawa)

千葉県出身。東京芸術大学音楽学部声楽科卒業。
バス専攻として入学し、学部4年次にテノールへ声種変更。東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻音楽コース(声楽領域)修了。第1回パン・パシフィック声楽コンクール学生部門第2位(1位なし)。吉田裕史指揮・レオンカヴァッロ「道化師」ペッペ役でロールデビュー。これまでに演じた役はベッリーニ「カプレーティ家とモンテッキ家」テバルド役、ビゼー「カルメン」レメンダード役、ヴェルディ「椿姫」ガストン子爵役、プッチーニ「ラ・ボエーム(抜粋)」ロドルフォ役、石桁真礼生「河童譚」与作役など。これまでに声楽を奥村正子、故・平野忠彦、勝部太、故・日比啓子、小林大作、穂積磨矢子の各氏に師事。
現在、私立北鎌倉女子学園中学校高等学校音楽科専任教諭。