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2019.05.29 音名と階名3

 音名と階名は全く別のものですが、日本では音名も階名も同じ「ドレミ」を使うことが多いため、混同してしまっていることも少なくありません。小中学校の音楽の授業で階名を扱うことになってはいるものの、専門的に勉強をしている人でもなければ、階名の存在はなかなか認識されないのが実情です。日本では一般的にドレミを使って歌うときは「音名唱」であることがほとんどでしょう。
 

 一般的に音楽は「音階」を用いて作られます。最もよく使われるものは「長音階」と「短音階」と呼ばれるものです。「ハ長調」とか「イ短調」とか、学校の音楽の授業で聞いた記憶がある人も多いかと思います。
 

ハ長調は、「ハ音」を基準音として作られた「長音階」、イ短調は、「イ音」を基準音として作られた「短音階」を指します。「長音階」も「短音階」も、基本は7つの音で作られており、それぞれの音の幅は2種類あります。これを日本語では「全音」と「半音」と呼びます。
 7つの音の配列のどこに「全音」の幅が来るのか、「半音」の幅が来るのか。これによって長音階なのか短音階なのかが決まります。長音階の場合、3音目と4音目の間と、7音目と1音目(オクターブ上)の間が半音、それ以外が全音で構成されています。短音階だと、2音目と3音目の間と、5音目と6音目の間が半音、それ以外は全音となります。どちらの場合も「全音5つ」と「半音2つ」の組み合わせです。長音階であろうと短音階であろうと、基本的にこのルールは変わりません。
 相対音感をより働かせるためには、決まった高さの音に名前を与える「音名」ではなく、音階の主音を基準とした「階名」を考えるようにします。長調の場合は、基準音を「ド」として、短調の場合、基準音を「ラ」として階名を振ります。長調と短調で基準音が変わるのは紛らわしい部分もありますが、その一方で「階名の名前と音程幅が完全に一致する」という大きなメリットがあります。
この読み方だと長調でも短調でも、ドとレの間は全音、レとミの間も全音、ミとファの間は半音となります。隣り合った二つの音だけでなく、例えばドとミなら長三度、ファとシなら増四度といった具合に、どのような組み合わせでも音の幅が一致します。これが相対音感の訓練のために非常に役に立つ、というわけです。
さて、理論ばかりでなく、次は練習問題に取り組んでみましょう。