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2020.06.26 written by Kikawa 本物の思考力を磨くための音楽学〜「本質を見抜く力」は「感動」から作られる

泉谷閑示 「 本物の思考力を磨くための音楽学〜「本質を見抜く力」は「感動」から作られる 」 ヤマハミュージックメディア

 この本と対話をしていると、さながら大学の講義を受けているような心持ちになります。私自身の言葉でこの本の書評を書くのはおこがましくもあり、かといって紹介しないわけにもいかず、特に音楽について思考する・したい人にとっては様々な思考プロセスのきっかけを与えてくれる本であろうと思われます。一言だけ表現するならば、「どうやって音楽に触るのか」を考えさせてくれる本、でしょうか。以降は「はじめに」に書かれている文を引用させていただくこととします。
 “人間という生き物は、「意味」が感じられないと生きていけないという、特異的な性質を持つ動物です。しかし近年、この「意味」特に「生きる意味」が「わからない」「見つからない」といった漠然とした空虚感を抱える人が、とても増えてきています。(中略)「生きる意味」が見つかりにくい現代だからこそ、私たちは音楽の力を必要としています。そして力を備えた音楽には、必ずや愛が込められています。そのような本物の音楽に触れた時、人はそこに美を感じ取り、真理を発見し、「生きる意味」を実感することができるはずです。
(中略)本書では、音楽という不思議なものの正体に少しでも迫り、「生きている」音楽というものについて、さまざまな切り口から考えてみようと思っています。”

本物の思考力を磨くための音楽学〜「本質を見抜く力」は「感動」から作られる