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2019.10.21 written by Kikawa この音とまれ!

アミュー 「 この音とまれ! 」 集英社

 県立高校の箏曲部を舞台とした漫画です。作者自身が箏の経験者であり、お母さまもお姉さまもプロの奏者ということで、演奏はもとより音楽に対する姿勢であるとか、演奏者ならではの苦労であるとか、登場人物の演奏に対する苦悩には大いに共感出来るものがあります。自分が普段悶々と演奏に向き合っている分、それを乗り越えた時のカタルシスと言ったら!
 例えば「のだめカンタービレ」や「ピアノの森」など、「不遇な天才」を主役に据える作品と比べると、あくまでもこの物語のメインは「(絶対的天才キャラもメンバーにはいるものの)才能的には普通の範疇の高校生たち」が「部活動」で活躍する、というところであり、何かに打ち込んだことがある人であれば誰もが共感できる可能性を持っているように感じます。そういう意味では「音楽マンガ」というよりも、サッカーとか野球などの「部活動マンガ」のほうが性格としては近いのかもしれません。箏なのにジャンプ、そして箏なのに立派な少年マンガ。演奏シーンの表現力が素晴らしいです。

この音とまれ!