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2019.06.29 written by Kikawa 声楽家が下の親不知を抜くと歌に影響は出るのか その3

前回。
声楽家が下の親不知を抜くと歌に影響は出るのか その2


親不知抜歯の記録です。
「歌う必要のある人が抜歯をする時の話」というニッチな話はなかなか公開されていないため、
こんな形で記録に残しておく意味があるかもしれないと思い、当時の私はこうしてキーボードを叩いていた訳ですが、
まだ抜歯していない(そして抜歯する必要のある)すべての人に恐怖を振りまいているだけのような気がしてなりません。


2016年4月6日(抜歯3日目)
8時起床。起きた瞬間に「いてーよ」と思う。3日目でもまだそんな状態である。
耐えられそうだったので、ここで痛み止めを使うのはやめておいたが、痛みが気になっても何も手につかない。
口から鉄の匂いがする。

朝は煮込みうどん。
柔らかいものは食べられるけど、そもそも「噛む」という行為が辛いのだということを改めて実感した。

今回抜いたのは右下の親知らず。当然しばらくの間食事は左側を使うことになる。

左の奥歯でモノを噛んでいると、何かの拍子に左の頬と左上の奥歯の間に食べ物が彷徨って入ってしまって、それを取るために舌を繰り出すと、
「ああ、俺今傷口に凄い悪いことしてるわ」的なアゴの軋みが襲ってくるわけで。

12時。
何も手につかないモヤモヤが止まらないので、ここで痛み止めを投入。
痛み止めって素晴らしい。なんて素晴らしい。

昼ごはんはブランフレークに温めた豆乳をかけたもの。
これが思いの外美味しいし、へにゃへにゃになったフレークは噛まなくてもいいし、抜歯した男にとってこんな良い食べ物はない。
喜びのあまり貪り食う。

15時。
練習。あまり問題は感じないが、無理をすると傷にさわりそうな感触はある。
高音に変な入り方して血圧上がると痛い、といった感じ。
さすがに抜歯3日で本番は無理だと思われる。
抜糸も済んでないし。

21時。
やはり、痛み止めが切れるとじわじわと鈍痛がするので、今日2回目の痛み止めを飲む。
晩御飯は今朝の煮込みうどんの残りと、ほっけ。
歯と頬の間に入った魚の身を除去するために舌を繰り出すが、やはりそれが非常に辛い。
痛い、というよりつらい。どんな表現が一番しっくりくるかわからないこのもどかしさ。

ずいぶん症状は軽くなったと思ったけれど、やはりまだ固形物は食べづらい。

2016年4月7日(抜歯4日目)
起床。いてー。
なんだか昨日の朝より痛い気がする。
くしゃみがアゴに響く。
痛み止めを飲む。病院でもらった痛み止めは残り1錠。

未だに、普通にしていても痛いは痛い。
昼ごはんはおかゆとみかんゼリー、じゃがいもポタージュ2杯。

19時。
晩御飯前に痛み止めを飲む。これが処方された最後の痛み止め。
帰りに歯医者によって痛み止めをもらおうと電話したら、今日は休みのようだ。
腕はいいけど、臨時休みが多い。忙しい歯医者だとこれが大変。

2016年4月8日(抜歯5日目)
起床。ちょっといてーよ。
やはりまだ痛み止めが欲しい。我慢は出来るんだけど、例によって集中力を欠く。
毎度のことながら、くしゃみで悶える。
花粉症の時期でなくて本当によかったとつくづく思う。

朝はフレンチトーストを無理やり喰らい、昼は豆粥。
やっぱり噛まないもののほうが好き。

もう手元に処方された痛み止めは残っていなかったけど、ロキソニンSで対応。
頭痛の時に飲んでもあまり効いた試しがないのだが、今回は良く効いた。

15時。
ロキソニンを飲んだのが11時頃だったが、現時点で無痛状態。
思った以上にロキソニンのパワーは強い。

これから合わせなので、モスバーガーでコーンスープだけ飲む。

18時。
合わせは、本調子ではないけど一応出来た。
100%の声が必要でない合わせならば、抜歯5日目の時点でもこなせるのではないか。

合わせ終了後に焼き鳥屋へ行って、ウーロン茶を飲み、チーズと卵焼きと、大根とつくねの煮物(お通し)だけ食べる。
腹は減るけど食べられない俺を尻目に、共演者は焼き鳥を食べている。非常にずるい。非情。

22時。
帰宅。やっぱり痛みが出てきたのでロキソニンを飲む。
痛み止めには出来るだけ頼りたくないけれど、背に腹は変えられない。
ちなみに、鉄の匂いは未だに口から出ている。血は出てないはずなんだけど、なぜだろうか。
あるいは他の原因なのかもしれない。

頰の腫れは少しマシになってきた。


こうして以前の記録を読むと、やはりちょっとゾワゾワします。
出来るなら歯医者にお世話にならなくていいように、定期的にクリーニングに通ったり、子供の頃から歯並びが悪くならないように注意しておきたいものです。
親知らずも、小さいうちなら軽く切開するだけで除去できるみたいですしね。

続き。
声楽家が親不知を抜くと歌に影響は出るのか その4